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磯子区の人口密度は18区中9位。臨海工業地帯の印象より住宅地としての性格が強い


この記事が答えること

磯子区は横浜市18区のなかでどの位置にあるのかを、全区の数値が揃う公式統計だけで示す。根岸湾の埋立がいつ行われ、そこから何が生まれたのかを年次入りで確認する。防災・交通・公共施設について、区の公式ページで名称と件数を確認できた範囲を書く。

人口密度は18区中9位で、市平均をわずかに上回る

横浜市の推計人口によれば、令和8年6月1日現在の磯子区は人口163,608人(男80,390人、女83,218人)、世帯数78,810世帯、面積19.02平方キロメートルである。人口密度は8,602人/平方キロメートルで、横浜市全体の8,579人/平方キロメートルをわずかに上回る。

この密度は18区を並べると9位にあたる。最も高い南区(15,723人)や西区(15,467人)と、最も低い金沢区(6,202人)のちょうど中間帯である。磯子区自身が公表する「いそごポケット 磯子区統計白書2025」も、令和7年4月1日現在の人口密度8,638人/平方キロメートルを「18区中9位」と記しており、順位は一致する。面積は18区中14位、人口は13位という同白書の記載も、令和8年6月の全区データから算出した順位と一致した。

臨海部の工業地帯と広い緑地を抱えながら、人口密度は市の平均並みに収まっている。1世帯当たり人員2.08人も横浜市全体の2.08人と同じ値である。工業の街という印象だけでは、この住宅地としての姿は見えてこない。

なお令和8年6月1日現在の推計人口は令和7年国勢調査の速報値を基礎としており、令和7年4月1日現在の数値(人口164,295人、世帯数80,657世帯)とは基準が異なる。両者を差し引いて増減を語ることはできない。

高齢化率は18区中7位、年少人口割合も18区中7位

令和7年1月1日現在の推計人口による年齢別集計では、磯子区の老年人口割合(65歳以上)は28.7%、年少人口割合(0〜14歳)は11.1%、生産年齢人口割合は60.2%、平均年齢は48.92歳である。横浜市全体はそれぞれ25.5%、11.2%、63.4%、47.34歳であった。

老年人口割合28.7%は18区中7位にあたる。最も高いのは栄区の31.5%、最も低いのは西区の19.2%である。磯子区は市平均より高齢化が進んでいるが、突出しているわけではない。

見落とされやすいのは年少人口割合である。磯子区の11.1%は18区中7位で、上位3分の1に入る。市全体の11.2%をわずかに下回るのは、都筑区(13.6%)や港北区(12.0%)など人口規模の大きい区が平均を押し上げているためで、磯子区が子どもの少ない区だという理解は正確ではない。磯子区の統計白書も、登録人口による高齢化率28.1%(令和7年3月31日現在)を18区中7位と記している。

海岸線は昭和34年着工の根岸湾埋立でつくられた

磯子区の平地と海岸線は、埋立によって現在の形になった。区の歴史年表によれば、昭和31年12月25日に市会が根岸湾埋立を決定し、昭和34年1月25日に漁業補償協定が調印され、同年2月21日に根岸中学校で起工式が行われた。第1期埋立事業の竣工は昭和38年12月24日、第2期は昭和39年12月15日である。

磯子区の統計白書は、戦前のこの一帯を別荘地・海水浴場として知られ、海苔の養殖でも知られた地域と説明したうえで、昭和34年ごろからの埋立によって京浜工業地帯の一翼を担う臨海工業地帯へ変わったとしている。同じ時期に内陸では大規模な住宅地開発が進んだ。汐見台団地の入居開始は昭和38年5月25日、洋光台団地の入居開始は昭和45年6月1日である。

鉄道も並行して延びた。根岸線第1期工区(桜木町〜磯子間)の開通式は昭和39年5月19日に磯子駅前広場で行われ、磯子〜洋光台間の営業開始は昭和45年3月17日である。埋立で工業地を得た区が、同じ10年余りで住宅地と通勤鉄道を得た。今日の人口密度が市平均並みである背景には、この二重の開発がある。

日本初とされる公害防止協定「横浜方式」は磯子の発電所立地から生まれた

臨海部の工業と住宅地が近接する構造は、全国に先駆けた制度も生んだ。環境省の資料は、昭和39年に横浜市が、市が造成した臨海工業用埋立地における電源開発磯子火力発電所の立地に際して独自の環境調査を行い、造成地の売却条件として公害防止に関する協定の締結と遵守を求めたと記し、「これが横浜方式と呼ばれ、その後の公害防止協定のモデルになっています」としている。

横浜市の環境保全協定のページも、昭和39年12月に市が火力発電所と公害防止協定(現在の環境保全協定)を締結したこと、計画段階から事業者と行政が環境負荷の低減について協議する取組が「横浜方式」と呼ばれ後の環境アセスメントの先駆となったことを記している。事業者側でも、電源開発の磯子火力発電所(横浜市磯子区新磯子町37-2)が、大都市部に位置する発電所として日本で初めての公害防止協定を横浜市と締結したと説明している。

この枠組みは現在も続いており、横浜市は市内に立地する32事業所(令和7年7月現在)と環境保全協定を締結している。磯子区の工業地帯は、単に工場が集まった場所ではなく、環境規制の手法が最初に試された場所でもある。

津波避難対象区域があり、地域防災拠点は22か所

横浜市は、平成24年3月に神奈川県が想定した津波のうち「慶長型地震」による津波モデルとして津波対策を実施している。津波避難対象区域図は沿岸部の区について作成されており、磯子区は中区との合冊の区域図に含まれる。市の津波避難施設一覧(令和8年3月9日現在)には、磯子区分として公共施設15件・民間施設6件の計21施設が掲載されている。磯子区役所、磯子小学校、磯子消防署、新杉田駅(シーサイドライン)などが含まれる。

地震時に開設される地域防災拠点は、磯子区の一覧に22か所が掲載されている。根岸小学校、根岸中学校、滝頭小学校、岡村小学校、磯子小学校など区内の市立小中学校が中心である。ただし22か所のうち小田小学校は所在地が金沢区富岡西1-69-1であり、区界をまたいで磯子区の拠点として位置づけられている。区内に所在するのは21か所となる。

交通と主な公共施設

区の南北をJR根岸線が貫く。磯子区役所(磯子区磯子三丁目5番1号)はJR根岸線「磯子駅」から徒歩5分である。新杉田駅は横浜シーサイドラインの起点で、同社はこの駅がJR根岸線新杉田駅に接続し、反対側の終点である金沢八景駅で京浜急行線に接続すると案内している。

公共施設では、区民文化センターとして「杉田劇場(磯子区民文化センター)」があり、所在地は磯子区杉田1-1-1、らびすた新杉田4階である。地区センター等は区の施設案内に、上中里地区センター、杉田地区センター、根岸地区センター、磯子センターの4館が掲載されている。あわせてコミュニティハウス7館と、洋光台駅前公園こどもログハウスが挙げられている。図書館は、区の案内に磯子図書館(磯子区磯子3-5-1 磯子区総合庁舎地下1階)が掲載されている。

出典

情報確認日 2026-08-02。統計は基準日と定義(推計人口か登録人口か)によって値が変わる。令和8年6月1日現在の推計人口は令和7年国勢調査の速報値を基礎としており、確定値の公表後に再計算される予定である。手続きや施設の利用条件は変更されることがあるため、最新の内容は各リンク先および磯子区役所で確認してほしい。