泉区の農地は414.2haで18区最多。ベッドタウンという一語では足りない
この記事が答えること
横浜市泉区の人口・世帯数・面積・農地面積が、全18区の中でどの位置にあるのかを、横浜市と泉区が公表している資料で確認する。あわせて、泉区に農地が残っている制度上の理由と、都市の農地に対する国の位置づけの変化を整理する。数値はすべて年次・単位・調査名を添えて示し、系列の異なる統計は混ぜない。
人口は149,491人。世帯数は前回調査を上回った
横浜市が令和8年4月30日に公表した記者発表資料「令和7年国勢調査結果速報と住民基本台帳に基づく人口動態」によると、令和7年10月1日現在の泉区の人口は149,491人である。令和2年の152,378人と比べ、増減数は△2,887人、増減率は△1.9%となっている。同資料は「市内 18 区のうち6区で人口が増加し、12 区で減少しました」と記しており、泉区は減少した12区の側に入る。
一方で、同じ資料の世帯数は令和7年が63,851世帯、令和2年が62,847世帯である。人口が減った区でありながら、世帯数は前回調査を上回っている。世帯当たり人員は令和7年で2.34人である。人口の増減と世帯の増減は必ずしも同じ向きに動かない、ということがこの2つの数字から読み取れる。
なお、泉区役所の「統計情報」ページが示す令和8年7月1日現在の推計人口は149,856人(男72,243人、女77,613人)である。推計人口は国勢調査結果を基礎に住民基本台帳の異動を加減して算出する別系列の数値であり、国勢調査の値と直接引き算して比較することはできない。同ページは、令和7年国勢調査の確定値の公表を令和8年10月頃と案内している。
面積は、泉区役所が発行する区勢便覧「IZUMI」2026(令和8年3月発行)の「地勢」によれば、令和7年4月1日現在で23.58k㎡、横浜市全体の約5.4%にあたり、18区中10番目の大きさである。
農地414.2haは18区で最も広い
横浜市の「グラフでみる横浜の農業」に載る区別農地面積(令和2年1月1日固定資産概要調書)では、全市の農地面積2,850.2haのうち、泉区が414.2haを占める。これは18区の中で最も広い。次いで都筑区343.4ha、青葉区313.5ha、緑区307.4ha、戸塚区281.0haと続く。同じ表で西区は数値の記載がなく、中区は0.1ha、南区は1.9haである。区によって農地面積は3桁違う。
調査を変えても順位は変わらない。区勢便覧「IZUMI」2026の「農業」は、2020(令和2)年農林業センサス(令和2年2月1日現在)に基づき、泉区の経営耕地面積は「23,703アールで1位」、農家数は「18区中3位で355戸」、農業従事者数は「582人で2位」と記している。固定資産概要調書の農地面積と農林業センサスの経営耕地面積は定義も調査主体も異なるが、いずれも泉区を18区の首位に置いている。
農地面積を「多い」と感じるか「少ない」と感じるかは人によるが、少なくとも横浜市18区を横並びで見たとき、泉区が農地の面で突出した区であることは統計上明らかである。
市街化調整区域の割合が18区で最も高い
農地が残っている背景には、都市計画上の区分がある。国土交通省関東地方整備局は、市街化区域と市街化調整区域に分けることを「区域区分」または「線引き」といいます、と説明し、「市街化調整区域」は、市街化を抑制すべきところです。市街化調整区域の中では、農林漁業用の建物の建築や、一定規模以上の計画的開発以外は許可されません、としている。
横浜市が定める「横浜市都市計画マスタープラン泉区プラン(平成28年改定版)」は、平成26年7月時点として「泉区の市街化調整区域の割合は 48.7%であり、18 区の中で最も割合が高くなっています。」と記載している。区域の約半分が市街化を抑制すべき区域という構成が、農地の広さと対応している。この48.7%は平成26年時点の値であり、最新値ではない点は断っておく。
国は都市の農地を「あるべきもの」と位置づけ直した
都市の農地に対する国の考え方は、この10年ほどで変わっている。農林水産省の説明によれば、都市農業振興基本法は平成27年4月22日に成立し、都市農業を「市街地及びその周辺の地域において行われる農業」と定義したうえで、「都市農業の安定的な継続を図るとともに、都市農業の有する機能の適切かつ十分な発揮を通じて良好な都市環境の形成に資する」ことを目的としている。同法のあらまし(農林水産省、平成27年7月)は、都市農業の機能として、新鮮な農産物の供給、災害時の防災空間、良好な景観の形成、国土・環境の保全、農業体験・学習や交流の場、都市住民の農業への理解の醸成を挙げている。
さらに国土交通省は平成28年5月13日の報道発表「「都市農業振興基本計画」を閣議決定 ~農地を都市に「あるべきもの」へと転換~」で、農地を、これまでの「宅地化すべきもの」から、都市に「あるべきもの」ととらえる、という方針転換を示した。住宅地と農地が隣り合う風景は、政策の失敗の跡ではなく、現行の政策が前提としている姿である。泉区の数字は、この枠組みの中で読むと位置づけがはっきりする。
鉄道は2路線9駅
泉区の鉄道は、区勢便覧「IZUMI」2026の「道路・交通」に、相鉄いずみ野線と市営地下鉄ブルーラインの計9駅が掲載されている。泉区の定住・転入案内サイト「いずみくらし」も、区内を走るのは2路線・9駅であるとしている。
相鉄グループが公式に示す駅一覧では、相鉄いずみ野線は二俣川、南万騎が原、緑園都市、弥生台、いずみ野、いずみ中央、ゆめが丘、湘南台の順に並ぶ。このうち緑園都市、弥生台、いずみ野、いずみ中央、ゆめが丘の5駅が泉区内の駅として区勢便覧に掲載されている。残る4駅は横浜市交通局の駅情報で所在地と路線を確認できる。踊場は横浜市泉区中田南1-2-1、中田は横浜市泉区中田南3-1-5、立場は横浜市泉区中田西1-1-30、下飯田は横浜市泉区ゆめが丘59-1で、いずれも路線は横浜市営ブルーラインである。
農地が18区で最も広い区に、地下鉄が4駅ある。この組み合わせが泉区の交通の形である。
区の施設と「#住むなら泉区」
泉区役所の「区民利用施設」ページには、地区センター、コミュニティハウス、しらゆり集会所、老人福祉センター(泉寿荘)、こどもログハウス、広場・遊び場、和泉遊水地、深谷通信所跡地中央広場、泉公会堂、泉区民文化センター テアトルフォンテ、泉スポーツセンターが並ぶ。施設名は区の公式表記に合わせている。
また、泉区は区を表すロゴマークとして「#住むなら泉区」を定めている。泉区役所のページ「泉区を表すロゴマーク「#住むなら泉区」」によれば、統一感のある情報発信のために用いるもので、区の広報物のほか、区のPRに関する非営利目的であれば原則として誰でも自由に使用できるとされ、営利目的の使用は事前の申請と承認が必要とされている。ハッシュタグ風の表記だが、区が定めた公式のロゴマークである。
出典
- 横浜市「令和7年国勢調査結果速報と住民基本台帳に基づく人口動態」(記者発表資料PDF、令和8年4月30日) https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/seisaku/2026/0430doutainenrei.files/20260430kokuchosokuhodotai.pdf (一次情報。泉区の人口149,491人・世帯数63,851世帯等の出典)
- 横浜市「令和7年国勢調査速報値(横浜市集計)」 https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/tokei-chosa/portal/kekka/kokusei/r7kokuchosokuho.html (一次情報。調査基準日は令和7年10月1日)
- 横浜市泉区「統計情報」 https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/kusei/tokei/toukei.html (一次情報。令和8年7月1日現在の推計人口)
- 横浜市「グラフでみる横浜の農業」(PDF) https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/nochi/nougyou/sesaku/nousei.files/0047_20201223.pdf (一次情報。区別農地面積、令和2年1月1日固定資産概要調書)
- 横浜市泉区「区勢便覧「IZUMI」」 https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/kusei/tokei/kuseibinran.html (一次情報。2026年版の「地勢」「農業」「道路・交通」を参照)
- 横浜市「横浜市都市計画マスタープラン泉区プラン(平成28年改定版)」(PDF) https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/kurashi/machizukuri_kankyo/machizukuri/tomasu.files/0015_20181016.pdf (一次情報。市街化調整区域48.7%、平成26年7月時点)
- 国土交通省 関東地方整備局「区域区分」 https://www.ktr.mlit.go.jp/city_park/chiiki/city_park_chiiki00000011.html (一次情報。市街化区域・市街化調整区域の定義)
- 農林水産省「都市農業振興基本法とは」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/kihon.html (一次情報。平成27年4月22日成立)
- 農林水産省「都市農業振興基本法のあらまし」(PDF、平成27年7月) https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/attach/pdf/kihon-1.pdf (一次情報。都市農業の定義と多様な機能)
- 国土交通省「「都市農業振興基本計画」を閣議決定 ~農地を都市に「あるべきもの」へと転換~」(平成28年5月13日) https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000095.html (一次情報。方針転換の記述)
- 横浜市泉区「区民利用施設」 https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/madoguchi-shisetsu/riyoshisetsu/ (一次情報。施設の公式名称)
- 横浜市泉区「泉区を表すロゴマーク「#住むなら泉区」」 https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/kusei/koho/logomark.html (一次情報。ロゴマークの表記と使用条件)
- 泉区「いずみくらし~定住転入のご案内~」アクセス https://izumikurashi.city.yokohama.lg.jp/access/ (一次情報。区内2路線9駅)
- 相鉄グループ「駅一覧」 https://www.sotetsu.co.jp/train/stations/ (鉄道事業者の一次情報。いずみ野線の駅の並び)
- 横浜市交通局「踊場の駅情報」 https://navi.hamabus.city.yokohama.lg.jp/koutuu/pc/detail/Station?id=00008897 (一次情報。所在地と路線)
- 横浜市交通局「中田の駅情報」 https://navi.hamabus.city.yokohama.lg.jp/koutuu/pc/detail/Station?id=00006102 (一次情報)
- 横浜市交通局「立場の駅情報」 https://navi.hamabus.city.yokohama.lg.jp/koutuu/pc/detail/Station?id=00008988 (一次情報)
- 横浜市交通局「下飯田の駅情報」 https://navi.hamabus.city.yokohama.lg.jp/koutuu/pc/detail/Station?id=00000987 (一次情報)
情報確認日 2026-08-02。本記事の数値は上記の各ページに記載された値をそのまま用いており、年次・単位・調査名を本文中に明記した。統計は更新されるため、手続きや制度の判断に用いる場合は必ず出典先の最新の記載を確認してほしい。本記事は住みやすさを評価するものではなく、公表されている事実を示すことを目的としている。