横浜市はなぜ借金する? 4年間で市債5300億円、その意味
横浜市の計画を見ると、2026年度から2029年度までの4年間で、一般会計の市債を5300億円程度活用する方針が示されています。「市の借金が5300億円増える」と読むと不安になりますが、これはそのまま借入残高が5300億円増えるという意味ではありません。
市債は、自治体が道路や公共施設などを整備するときに資金を借りる仕組みです。横浜市の中期計画では、4年間の市債活用額5300億円程度のうち、建設地方債を5000億円程度としています。
なぜ、その年の税収だけですべて払わないのでしょうか。道路や公共施設は、完成した年の市民だけが使うものではありません。何十年にもわたって利用されます。建設時に全額をその年の負担にすると、今の市民だけが将来も使われる施設の費用を負うことになります。市債には、長期間使う資産の費用を、返済を通じて後の世代にも分ける役割があります。
もちろん、借りれば返済が必要です。そのため大切なのは「借金があるかないか」だけではなく、何のために借り、残高をどう管理するかです。
横浜市の中期計画では、一般会計が対応する借入金残高について、2024年度末の2兆9492億円から、2029年度末には2兆9400億円とする見通しを示しています。新たな市債を活用しながら、返済も進め、残高全体を管理する考え方です。
ここには難しいバランスがあります。借金を抑えすぎれば、老朽化したインフラの更新や将来への投資が遅れる可能性があります。一方で借りすぎれば、将来の返済負担が重くなります。だから市債を見るときは、発行額だけでなく、「何をつくるためか」「どれくらい長く使うものか」「借入残高はどう推移するか」を一緒に見ることが重要です。
市の借金は、家計のカードローンと同じ感覚だけでは理解できません。長く使う公共資産を、どの世代がどれだけ負担するかという問題でもあります。5300億円という大きな数字の向こうには、横浜のインフラをいつ整備し、その費用を誰が負担するのかという選択があります。