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166万トンが91万トンになった横浜のごみ ― 焼却工場7→4、1人1日742.3gの現在地


横浜市が収集処理したごみと資源は、平成13年度の1,662,064トンから令和6年度の912,266.7832トンへ、約45%減った。同じ期間に焼却工場は7から4になり、日量3,600トン分の焼却能力が市内から消えている。ただし数字を細かく見ると、減ったのは家庭より事業系であり、埋立を占めるのは分別で減らせない焼却灰である。

1,662,064トン(平成13年度)→912,266.7832トン(令和6年度)、45%減の内訳

横浜市のオープンデータ「ごみ収集量の推移(昭和54年度から令和3年度)」によると、平成13年度の収集量は1,662,064トン。内訳は家庭ごみ900,826トン、資源となるもの53,986トン、事業系ごみ678,199トン、その他29,053トンである。ここが「横浜G30プラン」(平成14年~22年度)の出発点にあたる年度だ。

同じ系列で平成17年度は1,236,331トン、平成22年度は1,047,206トン、令和3年度は969,340トンと下がり続ける。そして後継データセット「ごみと資源の収集処理量(平成21年度から令和6年度)」では、令和6年度の収集処理量が912,266.7832トンとなっている。平成22年度の値が両データセットで1,047,206トンと完全に一致するため、この2系列はつないで読める。差し引き約74万9,800トン、率にして約45%の減少(記載値からの計算)である。

注目すべきは減り方の偏りだ。平成13年度と令和3年度を比べると、家庭ごみは900,826トン→547,079トンで約39%減、事業系ごみは678,199トン→275,838トンで約59%減。分別ルールの主役である家庭よりも、事業系のほうが大きく落ちている。一方「資源となるもの」は53,986トン(平成13年度)から130,067トン(平成22年度)へ約2.4倍に増えた。燃やす量が資源へ移った動きは、確かに数字に出ている。

栄・港南・保土ケ谷 ― 消えた日量3,600トンという設備投資の話

横浜市資源循環局が中央環境審議会に提出した資料「『G30』から『ヨコハマ3R夢』へ」には、栄工場(1,500t/日)が2005年10月廃止、港南工場(900t/日)が2006年11月廃止、保土ケ谷工場(1,200t/日)が2010年4月休止と明記されている。7つの焼却工場のうち2工場を廃止、1工場を休止した、という記述である。

横浜市の現在の公式ページでは、稼働中は鶴見工場、旭工場、JFE横浜金沢マリンエネルギーセンター(金沢工場)、都筑工場の4つで、保土ケ谷工場は整備中とされる。ごみ減量の成果は「ごみが減った」だけでなく、日量3,600トン分の焼却設備を持たなくてよくなったという固定費の話でもある。廃棄物処理は装置産業であり、削減の便益の多くはここに現れる。

742.3グラム対851グラム ― 政令市の中の横浜の位置

都市間比較は定義が命だ。環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和5年度)について」の表-6「リデュース取組上位市町村」人口50万人以上区分(指標は1人1日当たりのごみ排出量、単位グラム/人日、令和5年度)には、千葉市795.4、八王子市791.3、名古屋市787.5、北九州市770.8、岡山市764.7、新潟市749.4、横浜市742.3、相模原市698.4が並ぶ。横浜市は同区分の掲載10市の中にあり、値としては名古屋市や千葉市より小さい。

同調査の全国値は令和5年度が851グラム、令和6年度が839グラムである。横浜市の742.3グラム(令和5年度)は全国平均を約109グラム下回る。全国平均より確実に少ない水準ではあるが、同じ表に載る相模原市の698.4グラムとは40グラム以上の開きがある。「政令市の中で突出して少ない」とまでは言えない、というのが数字の示すところだ。

札幌40リットル80円、京都45リットル45円、横浜は透明な袋でよい

分別の「厳しさ」は区分数だけでは測れない。価格が入るかどうかで住民の行動は変わる。

札幌市は平成21年7月から家庭ごみの有料化を実施しており、家庭用指定ごみ袋40リットルは1枚80円。京都市は平成18年10月1日から家庭ごみ有料指定袋制を導入し、燃やすごみ用45リットルは1枚45円である。名古屋市は「家庭ごみ指定袋制」を実施し、可燃・不燃・資源の3種類、10・20・45リットルの規格を定めている。

対して横浜市は、燃やすごみを「透明または半透明の袋に入れて出してください」としており、公式の案内に指定袋の種類や価格の定めは示されていない。全国では令和6年度時点で生活系ごみの82.1%(1,430市区町村)が何らかの手数料徴収を行っている中で、横浜市は価格シグナルを使わずに削減を進めてきた都市だと言える。だからこそ、横浜の減量は分別ルールと収集運用の設計にかなりの部分を負っている。

5分別7品目から10分別15品目へ ― 細分化の効果はどこまでか

前掲の資源循環局資料は、家庭ごみの分別を「従来:5分別7品目」から「実施後:10分別15品目」へ拡大したと記す。現在の横浜市の家庭系の区分は、燃やすごみ、燃えないごみ、スプレー缶、電池類、缶・びん・ペットボトル、小さな金属類、プラスチック資源、粗大ごみ、動物の死体、地域回収の古紙・古布である。

細分化の効果は、資源量の増加(53,986トン→130,067トン)と焼却工場3施設の廃止・休止という形で確かに現れた。ただし前節で見たとおり、家庭系より事業系の減少幅のほうが大きい。細かくすること自体が万能なのではなく、分別区分の拡大・収集体制の変更・事業系の規制強化・工場の集約という複数の施策が同時に走った結果として、全体が動いたと理解するのが妥当である。

埋立の98%は焼却灰 ― 分別が効く場所と効かない場所

令和6年度の収集処理データを見ると、直接埋立に回るごみは2,457.616トン、これに対して焼却残渣の埋立は109,885.28トンである。埋立量のおよそ98%は、燃やした後に残る灰が占める(記載値からの計算)。

搬入先の南本牧第5ブロック廃棄物最終処分場は、埋立面積164,000平方メートル、埋立計画量4,000,000立方メートル、埋立期間は平成29(2017)年10月から概ね50年とされている。参考までに全国の最終処分場の残余年数は令和6年度で24.9年である。

ここが分別を考えるうえでの要点になる。生ごみを分別しても、燃やす量は減るが灰はゼロにならない。最終処分場の寿命に直接効くのは、焼却後の灰をどれだけ減らし、資源化できるかである。分別が効くのは主として焼却量とCO2、埋立に効くのは灰の扱い、と分けて考える必要がある。

プラスチック資源の一括回収と、燃やすごみのCO2会計

横浜市は令和7年4月から全市18区でプラスチック資源の回収を変更した(一部の区では令和6年10月から)。プラスチック製容器包装に加え、プラスチックのみでできている製品も対象になる。市はその理由を、プラスチックの焼却に伴い発生する温室効果ガス(CO2)を減らすためと説明している。

制度の背景にあるのが「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環法)で、環境省によれば令和3年6月11日公布、令和4年4月1日施行である。大阪市も同法の施行を受けて容器包装プラスチックに製品プラスチックを加えた一括収集を週1回行い、日本容器包装リサイクル協会を通じてコークス炉化学原料化などに回している。

なぜプラスチックなのかは、CO2の数え方を知ると腑に落ちる。環境省「温室効果ガス総排出量 算定方法ガイドライン Ver.1.0」は、食物くず(生ごみ)や紙くず等のバイオマス起源の廃棄物の焼却に伴うCO2は排出量に含めないとし、算定対象を廃プラスチック類などに限っている。つまり燃やすごみの重量を減らしても、それが生ごみや紙であれば統計上のCO2はさほど動かない。プラスチックを抜くことだけが、会計上も実態上もCO2を確実に減らす。横浜市の一般廃棄物処理基本計画(原案)が示すごみ処理の温室効果ガス排出量は、2009年度28.2万トンCO2から2022年度23.9万トンCO2へ15.2%減。ここからさらに削るには、プラスチックに手を付けるほかない、という構図である。

出典

情報確認日 2026-08-01。数値は各出典に記載された年度・単位のものであり、掲載後に更新される場合がある。異なる定義の統計(市の「収集処理量」と「ごみと資源の総量」、環境省調査の「ごみ排出量」)は相互に一致しないため、本文では系列ごとに分けて記載している。制度・料金は変更されることがあるため、実際の分別や手数料は各市の最新の案内を確認してほしい。