速報一覧 →

横浜の人口はピークから3.6万人減 増えた6区・減った12区の分岐点


横浜市の人口は2021年の377.9万人をピークに減少局面へ入った。令和7年国勢調査速報値では3,754,840人で、5年前より22,651人(0.6%)少ない。ただし減り方は政令指定都市20市の中では小さい部類であり、18区の内訳は6区増・12区減と大きく割れている。

5年で22,651人減、それでも減少幅は政令市で下から2番目

横浜市の令和7年国勢調査速報値(令和7年10月1日現在)による人口は3,754,840人である。令和2年の3,777,491人と比べ22,651人、率にして0.6%の減少となった。5年ごとの国勢調査で市の人口が前回を下回った形である。

一方、世帯数は1,792,729世帯で過去最多を更新した。1世帯当たり人員は2.09人で過去最少である。人口が減っているのに世帯が増えるという逆方向の動きは、単身世帯や2人世帯への分解が進んでいることを示す。住宅需要やごみ収集、防災の単位は「人」ではなく「世帯」で効いてくるため、この乖離は行政コストの読み方を変える。

大阪+5.6万・福岡+5.2万に対し、横浜は-2.3万という位置

同じ令和7年国勢調査人口速報集計(総務省統計局、令和7年10月1日現在、令和2年比)で政令指定都市を並べると、横浜市の立ち位置が見える。

増えたのは福岡市(+51,500人、+3.2%)、大阪市(+56,212人、+2.0%)、千葉市(+20,019人、+2.1%)、さいたま市(+20,991人、+1.6%)、川崎市(+22,870人、+1.5%)、名古屋市(+13,716人、+0.6%)の6市。仙台市は+247人(0.0%)でほぼ横ばいである。参考までに東京都特別区部は+219,884人(+2.3%)だった。

減ったのは13市で、静岡市(-33,769人、-4.9%)、新潟市(-29,657人、-3.8%)、北九州市(-34,740人、-3.7%)、浜松市(-24,968人、-3.2%)、堺市(-22,828人、-2.8%)、広島市(-28,331人、-2.4%)、岡山市(-16,775人、-2.3%)、京都市(-32,010人、-2.2%)、神戸市(-27,522人、-1.8%)、相模原市(-13,384人、-1.8%)、熊本市(-8,011人、-1.1%)、横浜市(-0.6%)、札幌市(-9,361人、-0.5%)と続く。

減少率で見れば、横浜市の-0.6%は札幌市の-0.5%に次いで13市中2番目に小さい。全国は1億2,305万人で309万7千人(-2.5%)の減少だから、横浜市の減り方は全国平均の4分の1程度にとどまる。「減っている」ことと「速く減っている」ことは別の話である。

神奈川区+5,213人、金沢区-6,690人。18区は6対12に割れた

区別の増減は、市の記者発表「令和7年国勢調査結果速報と住民基本台帳に基づく人口動態」(令和8年4月30日、政策経営・国際戦略局統計情報課)に掲載されている。基準日は令和7年10月1日、比較対象は令和2年国勢調査である。

増えた6区は、神奈川区(+5,213人、+2.1%)、港北区(+5,115人、+1.4%)、中区(+3,277人、+2.2%)、西区(+3,180人、+3.0%)、都筑区(+853人、+0.4%)、南区(+92人、0.0%)。

減った12区は、金沢区(-6,690人、-3.4%)、港南区(-5,626人、-2.6%)、旭区(-5,558人、-2.3%)、保土ケ谷区(-4,207人、-2.0%)、青葉区(-3,507人、-1.1%)、磯子区(-3,056人、-1.8%)、泉区(-2,887人、-1.9%)、戸塚区(-2,740人、-1.0%)、瀬谷区(-2,215人、-1.8%)、緑区(-2,125人、-1.2%)、栄区(-1,050人、-0.9%)、鶴見区(-720人、-0.2%)である。

増加6区の合計は+17,730人、減少12区の合計は-40,381人で、差し引きが市全体の-22,651人と一致する。増減率の幅は西区の+3.0%から金沢区の-3.4%まで6.4ポイント開いており、「横浜市の人口動向」と一括りにできる状態にはない。増えた区は鉄道結節点や再開発の進む沿岸・北部に、減った区は1960〜70年代に開発された郊外住宅地に偏る傾向が数字の上では読み取れる。

自然減18,732人を社会増18,896人が打ち消している

人口変動は自然増減(出生-死亡)と社会増減(転入-転出)に分解できる。同じ記者発表資料によれば、住民基本台帳に基づく令和7年中の横浜市は、出生21,831人・死亡40,563人で自然増加数が-18,732人。平成28年以降10年連続のマイナスである。

対して社会増加数は18,896人で、資料は「過去20年で最大のプラス」と記している。転入は152,685人、転出は134,070人だった。さらに20〜40代の社会増加数が+17,605人と、これも過去20年で最大となっている。

つまり横浜市は、年間1万9千人近い自然減を、ほぼ同規模の社会増でかろうじて相殺している構図にある。国勢調査で人口が減ったのは、5年間の累積で自然減が社会増をわずかに上回ったためだ。社会増は景気や住宅供給、他都市の政策に左右されやすく、自然減より変動が大きい。この均衡は構造的に安定したものではない。

直近の月次でも同じ形が見える。市の推計人口では令和8年7月1日現在3,758,990人・1,811,626世帯で前月比-625人。令和8年6月中の内訳は出生2,016人・死亡3,155人で自然減-1,139人、転入11,273人・転出10,619人で社会増+654人であった。

高齢化率25.5%は全国28.6%より低い。ただし増加は2047年まで続く

横浜市の老年人口割合は、推計人口による令和7年1月1日現在で25.5%(934,895人)である。年少人口は409,362人(11.2%)、生産年齢人口は2,326,538人(63.4%)、平均年齢は47.34歳。65歳以上のうち549,435人が75歳以上を占める。区別では栄区の31.5%が最も高い。

ここが横浜の特徴である。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」では、全国の老年人口割合は2020年時点で28.6%。同年の横浜市は国勢調査で25.1%だから、横浜は全国より3.5ポイント若い。神奈川県全体も25.6%と全国を下回る。

にもかかわらず、市の「横浜市の将来人口推計」は65歳以上人口が2047年に122.7万人でピークを迎えると見込む。全国の高齢化がすでに終盤に差しかかっているのに対し、横浜の高齢化はこれから20年以上続く。若いことは、高齢化がまだ来ていないという意味でもある。

昭和45年に44.9万人増。その転入世代が75歳に向かっている

なぜ横浜だけ時間差が生じるのか。答えは高度経済成長期の人口急増にある。

令和2年国勢調査の市集計によれば、横浜市の人口は大正9年に422,938人だった。それが昭和40年に1,788,915人(前回比+413,205人、+30.0%)、昭和45年に2,238,264人(+449,349人、+25.1%)、昭和50年に2,621,771人(+383,507人、+17.1%)と、5年ごとに40万人前後増え続けた。この増加の大半は市外からの転入である。

このとき20代で横浜に移り住んだ層は、2026年時点で70代後半から80代に達する。全国平均より遅く、しかし急に高齢化が進むのはこのためだ。同じ理屈は区にも当てはまる。1960〜70年代に大規模開発された郊外住宅地ほど、入居世代が一斉に高齢化し、子世代の転出後に人口が減る。国勢調査で減少幅が大きかった区の顔ぶれは、この開発時期とおおむね重なる。

生産年齢人口割合は2020年の63.2%から2070年に53.1%へ低下すると推計されている。支え手1人当たりの負担は、人口総数の減少より速く重くなる。

2070年に301万人、増加が続く推計は5区のみ

「横浜市の将来人口推計」(令和2年国勢調査を基準人口)は、2070年の横浜市人口を301万人、50年で約2割減と見込む。老年人口割合は2020年25.1%、2030年27.7%、2045年34.7%、2070年37.1%と上昇する。

行政区別の推計(令和6年3月28日公表、当時の担当は政策局政策課)では、2070年時点で2020年の人口を上回るのは鶴見区・神奈川区・西区・中区・港北区の5区にとどまる。うち西区は推計期間中ずっと増加が続き、他の4区は2040年から2060年の間にピークを迎えて減少へ転じるとされる。

世帯数は2030年から2035年の間にピークを迎え、2030年で1,801千世帯と推計されている。人口のピーク(2021年)から世帯数のピークまで10年前後の時差があるということだ。学校再編、住宅、交通、介護のいずれも、この時差を前提に組み立てる必要がある。数字はここまでであり、どう読むかは読者に委ねたい。

出典

情報確認日 2026-08-01。国勢調査の数値は令和7年国勢調査の速報集計(人口速報集計)に基づくものであり、今後の確定値で変わる可能性がある。推計人口と国勢調査、住民基本台帳は調査方法も基準日も異なるため、本記事では出典ごとに基準日を明記し、異なる資料の数値を足し引きしていない。将来推計は仮定に基づく推計値であり予測ではない。