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横浜の緑被率は27.8%まで下がった 公園2,737か所と年900円のみどり税が支えるもの


緑被率27.8%、公園2,737か所という横浜の輪郭

横浜市の緑被率は令和元年度調査で27.8%、一人あたりの都市公園面積は5.0平方メートルで、政令指定都市20市の下位にある。一方で公園の数は2,737か所に上り、横浜は「小さな公園がきわめて多い都市」である。この構図を、公式調査の年次と定義をそろえて確認する。

緑被率は令和元年度で27.8%。低下は40年続いている

横浜市みどり環境局の「緑に関するデータ」によれば、市全域の緑被率は平成16年度31.0%、平成21年度29.8%、平成26年度28.8%、令和元年度27.8%である。定義は「航空写真から300m2以上のまとまりのある緑を目視判読し、市域面積に占める割合を算定するもの」。令和元年度が最新の公表調査である。

さらに古い系列も市の資料に残る。昭和57年40.3%、昭和62年36.0%、平成4年33.4%、平成9年32.3%、平成13年31.2%、平成16年31.0%。ただしこちらは「樹林地や耕作地、街路樹のほか個人の住宅の庭木や芝生、花壇など緑に覆われた土地の割合を求める」定義で対象が広い。市自身も「平成13年度と平成16年度では、調査方法が異なるため厳密な意味での数値の比較はできません」と注記している。

したがって40.3%から27.8%への差を引き算して語ることはできない。言えるのは、定義の異なる二つの系列がいずれも低下方向を示す、という事実である。令和元年度の緑被地は合計12,117ヘクタール、市域面積は43,650ヘクタールで、平成26年度調査から102ヘクタール減った。うち樹林地の緑被率は平成21年度17.4%、平成26年度16.9%、令和元年度16.7%である。

一人あたり公園面積は5.0平方メートル。政令市20市で下から4番目

他都市と比べるなら、同じ調査・同じ年度・同じ定義の表を使う必要がある。国土交通省の都市公園データベース収録の市区町村別整備現況(令和3年3月31日現在=令和2年度末)による一人あたり都市公園等面積は、神戸市17.6、岡山市16.6、仙台市15.3、札幌市12.7、北九州市12.7、新潟市10.7、千葉市10.1、熊本市9.8、福岡市8.9、堺市8.6、浜松市8.3、広島市7.9、名古屋市7.1、静岡市6.6、さいたま市5.0、相模原市5.0、横浜市5.0、京都市4.6、川崎市3.8、大阪市3.5(単位は平方メートル毎人)である。

横浜市は5.0で20市中17位、下から4番目である。同時点の全国値は10.7で、横浜市は全国平均のおよそ半分にとどまる。首位の神戸市とは3.5倍の開きがある。なお最新の集計(令和7年3月31日現在)では、全国の都市公園等は115,917か所・約131,243ヘクタール、一人あたり約11.0平方メートル毎人である。

公園は2,737か所ある。1か所平均0.69haの小さな公園群である

神奈川県「都市公園現況」(令和7年3月31日現在)によれば、横浜市の都市公園は全体で2,737か所・1,879.98ヘクタール、都市計画区域人口は3,777千人である。内訳は街区公園2,353か所395.84ヘクタール、近隣公園199か所331.56ヘクタール、地区公園46か所215.16ヘクタールで、住区基幹公園は計2,598か所942.57ヘクタール。総合公園は18か所289.00ヘクタールにとどまる。

ここから見えるのは面積不足より配置の特徴である。1,879.98ヘクタールを2,737か所で割ると1か所平均およそ0.69ヘクタール、街区公園に限れば1か所およそ0.17ヘクタール、すなわち1,700平方メートル程度になる(いずれも本稿での除算)。横浜は大規模公園で面積を稼ぐ都市ではなく、小規模な街区公園を面的に多数配置してきた都市である。

みどり税は個人年900円。5年415億円の計画の142億円を担う

横浜みどり税は、個人については市民税の均等割に年間900円を上乗せし、法人については市民税の年間均等割額の9%相当額を上乗せするものである。課税期間は、横浜みどり税条例により個人が平成21年度から令和10年度まで、法人が平成21年4月1日から令和11年3月31日までの間に開始する事業年度分。当初は平成21年度から平成25年度までの5年間として始まり、延長が重ねられてきた。直近の延長でも「税率は、現行の個人:年間900円、法人:年間9%相当額から変更はありません」とされる。税収は横浜市みどり基金に積み立てられる。

使途を定めるのが横浜みどりアップ計画[2024-2028]である。計画期間は2024年度から2028年度までの5年間で、概要版によれば総事業費415億円、うち横浜みどり税を充当する額は142億円。全体の約3分の1をみどり税が担う。5か年目標には「緑の減少に歯止めをかけ、総量の維持を目指します」が掲げられている。負担の是非は市民が判断する事柄であり、本稿は結論を出さない。

市民の森は48か所560ha。買い取りではなく10年以上の契約である

市民の森は昭和46年度に始まった制度で、「主に樹林に覆われたおおむね2ヘクタール以上の土地で、市民の散策や憩いの場として安全に利用できる区域を指定します」とされる。指定にあたっては「土地所有者と市長との間で10年以上の市民の森契約を結んでいただきます」。令和8年3月31日現在で48か所、約560ヘクタールである。

見落とされやすいのは、これが買い取りではなく契約だという点である。市域の緑の多くが民有地であることを踏まえれば、緑被率の低下は「公園が減った」ことより、民有の樹林地や農地が転換された結果と読むほうが実態に近い。

特別緑地保全地区は191地区587.1ha。市民の森より縛りが強い

より強い担保をかける仕組みが特別緑地保全地区である。根拠法は都市緑地法で、市内では令和8年2月13日現在191地区、約587.1ヘクタール。あわせて首都圏近郊緑地保全法に基づく近郊緑地特別保全地区が3地区、約206.7ヘクタール(令和7年3月14日現在)指定されており、市内の近郊緑地保全区域は円海山・北鎌倉近郊緑地保全区域の1区域である。

市民の森が契約に基づくのに対し、特別緑地保全地区は都市計画に位置づけたうえで建築や樹木伐採などの行為を規制する。同じ「緑を守る」でも担保の強さは同じではない。

緑地は周辺より数℃低い。ただし冷気は100m程度しか届かない

国土交通省都市局都市計画課「ヒートアイランド現象緩和に向けた都市づくりガイドライン」(平成25年12月)は「都市内の公園等の緑地では、周辺市街地よりも気温が数℃程度低くなるクールアイランド現象がみられます」と記す。

重要なのはその先である。同ガイドラインは「深夜の風の静穏時に大規模緑地の冷気が周囲に流出して気温が低下する冷気のにじみ出し現象は、東京の新宿御苑の場合、周縁部から100m程度の範囲で観測されています」と具体例を挙げる。大規模緑地であっても冷気が及ぶ範囲は周縁から100メートル程度という観測がある。緑地は涼しいという一般論は正しいが、恩恵は距離とともに急速に減衰する。小規模な公園が面的に分布する横浜の構造は、一人あたり面積の統計では不利に出る一方、この距離減衰に照らせば別の評価軸がありうる。ただしガイドラインの記述はここまでで、横浜市域での検証結果は確認できていない。

ロンドンの47%と横浜の27.8%を並べてはいけない

海外の数字は定義を確かめずに引くと誤解を生む。グレーター・ロンドン・オーソリティ(GLA)のロンドン環境戦略の緑インフラの章は「Currently about 47 per cent of London is classified as green or blue open space」と述べ、その内訳を公園・林地・農地などの緑地33%と私有の庭の緑14%に分けている。同章はさらに「only 18 per cent of London’s land area is officially public open space」とも記す。47%には水面と私有の庭が含まれ、公的に確保された公開空地に限れば18%である。目標は「London will be a National Park City where more than half of its area is green」とされる。

横浜の27.8%は300平方メートル以上のまとまった緑に限った値で、庭木も水面も含まない。参考値の10平方メートル以上では33.8%になる。47%と27.8%を並べて「横浜は緑が少ない」と結論づけるのは、定義を無視した比較である。

指標の置き方が違う例もある。シンガポールの国家公園庁(NParks)はOneMillionTrees movementとして100万本の植樹を掲げ、2023年4月時点で50万本以上を植え終え、当初の2030年目標より3年早い2027年末の達成を見込むとしている。面積比率ではなく植栽本数と実施年で進捗を管理する設計で、総量の維持を掲げる横浜みどりアップ計画とは指標の思想が異なる。優劣ではなく、比較するなら定義から見る必要がある。

出典

情報確認日 2026-08-02。本稿の数値はいずれも上記の公式ページ・公式PDFに記載された値であり、調査年度と定義が異なる数値を横並びにしないよう、比較箇所では出典・年度・定義を明記した。緑被率の年次比較は、市自身が調査手法の違いを注記しているため傾向としてのみ扱っている。制度の指定状況や税制は改正・更新されるため、手続きや最新値は必ず横浜市みどり環境局および財政局の公式ページで確認されたい。